入学式やHRなどが終わりやっと帰れる時間がやって来た。
中学とはちがって高校の成績は1年からのやつが大学にいくとか…がんばんなきゃなぁと大きな溜息をついた。
「優花ーどうしたん?ほら!帰ろ?」
「誰かさんみたいに頭が良かったら苦労しないのになぁ」
笑顔の美咲に皮肉たっぷりで言った。
「まーまー(笑)なんとかなるから大丈夫っ!」
と言い切る美咲。重たくなったスクールバッグをもち美咲と一緒に教室を出て、ここからすぐ近くのカフェテリアにいくことにした。
久々に会ったため、まだまだ話したりないからだ。
美咲の中身はあの頃のままで可愛らしいのに姉御肌的なところがギャップでそんな美咲が大好きだった。
あたしはカフェモカ、美咲はエスプレッソを飲んで話していたら美咲がにやけ顔を見せた。嫌な予感は的中。
「そーいや優花は彼氏とかいるの?」
「ぶふぉっ!!!」
思わずカフェモカを少し吹き出してしまった。
「いないよっ!今までいたこともないっ」
あたしはすぐさまそう美咲にいった。
彼氏かー。あたしにも彼氏が出来るのだろうか…と思った。
「じゃあ、好きな人は??」
ぐ….そうきたか。美咲は昔淳也が好きだった。小学生の恋だけどまだ好きだったら…そう思うと苦しい。
「あ、あたし淳也諦めたから♪」
そうエスプレッソを飲みながら平然と言った。
「え、えっ?!」
再び驚くあたし。何か今日は驚くことばっかりな気がする。
「だ、だって好きって…」
「んーさっきまで好きだったんだけどあたし佐倉くんに一目惚れしたかもぉ☆」
そう微笑んであたしに言う。佐倉くん…?一瞬誰か分からなかったがあの止血してくれた人か!と理解した。
「だから安心して!」
美咲はそう言ってあたしの頬をつついた。仕返しに同じことをしてやった。
もし美咲も淳也が好きだったらきっとこんな風にコイバナも出来なかったんだろうなぁ…
「ってか佐倉くん?の何処に惚れたの?」
あたしはすかさず聞いてみる。美咲は少し驚いて、考えてる。
「んー、なんだろーなぁ。黒髪で何かサラサラしてそうで….なにより笑う顔が可愛かったからかなぁ」
ニヤつきながら話す美咲を見てこっちまでニヤついてきてしまった。
確かに笑った顔は可愛かった。何か女子とは違う可愛さを持つ佐倉くんとあたしの脳にそう記憶付けをしといた。
「逆に、何で優花は淳也先輩が好きなのさぁ」
肘をつきながらそう聞く美咲。そんなこと話したら数えきれないくらいだ。
頭もよく、スポーツ万能、イケメンで優しい。きっと淳也は学校でモテるんだろうなぁと今になって思った。
「1番はやっぱり優しいところかなぁ」
ありきたりの言葉でしか返せなかった。美咲はニヤついてた顔を少し戻して真面目な顔になった。
「もしかしたら、彼女いるかもよ?」
「ぷっ…ないない(笑)だって淳也ガサツだもん」
そう。淳也は鈍感なため中々彼女が出来ないことをあたしは知っていた。
だからきっと大丈夫って思っていた。
だから信じたがった。