君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

有無を言わせず、扉の向こうに消えていく杏奈。



スライド式の扉が閉まったのを確認すると、兄貴は俺を見据えた。







「どうして、声が取り戻せたんだ?」



「……」



「俺は杏奈ちゃんの主治医だ。聞く権利はあるだろ」







"俺は杏奈ちゃんの主治医だ"、その言葉を聞いた瞬間、何かが切れた気がした。