君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

「診察、始めようか」



「はい」







杏奈が診察を受けている間、誰も口を開くことはなくて、



ただ重苦しい空気だけが流れていた。










「……うん、大丈夫だよ」



「ありがとうございます」



「……」







何が大丈夫?進行してんじゃねぇの?



本人には、本当のことを言わねぇの?