君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

まるで、俺は幸せになってはならないとでも言うように。






「雅っ……――!」







遠い向こうの角を曲がり、白衣を靡かせながら俺に向かって走ってきたのは、兄貴だった。



魂が抜けたように扉の前に座り込む俺にたどり着くと、



兄貴は俺の手を引き、歩き出した。