君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

杏奈の、あの言葉を。



また俺は誰かを見殺しにするのか。



また俺は誰かを傷つけたまま別れるのか。



俺が、救えたはずの命を……。







「雅」







顔を上げると、いつの間にか兄貴が目の前に立っていた。