すっかりお正月気分が消え去った、少し暖かい日のこと。



私は、実家の前に立っていた。



事前に行くことは伝えていなかったものの、日曜日だし、車もあるから多分いると思う。



震える手でインターホンを押すと、







『はい、どちら様――あ、杏奈!?ちょっと待ってね、今開けるわね』







機械を通して聞こえるママの声は、普段より低く聞こえた。