遙香さんは、私に手を差し出す。



震える手で、その手に自分の手を重ねる。







「……あがれよ」



「あら、さっきまではあんなに嫌がってたのに」



「寒いからだよ!嫌ならいいけど」



「あがるわよ」







遙香さんはハイヒールを脱ぎ散らかし、ドスドスと言う音を立て、リビングへと歩いていった。