廊下に出ても、人気はなかった。



万里ちゃんの病室は、ワンフロア下の奥から2番目。



階段を使って、2階まで下りると、1番手前の部屋から、聞き覚えのある話し声が聞こえてきた。







さっきまで話していた藪内先生の声と……、みーくんの声。



思わず、耳を済まして会話を聞いてしまう。







「……雅、本気か?」



「何が」



「全部だよ。杏奈ちゃんのことだってそう、就職せずに大学行くってことも……」



「兄貴は、俺が大学になんか行けねえと思ってんの?」