君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

きっと、私だけ残されるのが、嫌だったんだ。







「誰かと来てんの?」







嘲笑うように私に言葉をかける、彼。



もしかしたら、普通に話しているだけかもしれない。けど、頭がそう認識してしまう。私
の中で、今はもう本当に遠い存在の颯。







「……」







返事をしない私の耳元で、私を責める彼女さん。



彼女が身につけるきつい香水が、鼻を刺激する。







「颯が話しかけてるんだから、返事くらいしなさいよ!」