君が教えてくれたのは、たくさんの奇跡でした。

花が咲き乱れた中庭が見渡せて、小さな子供が走り回っているのがわかる。



7階のこの病室からでも誰かに届くかな。







お腹の底から息を吐き出し、じとっとした夏の空気を思い切り吸い込む。



口を開くと、涙が出そうになった。







「――……♪」







歌えてる。



ちゃんと声は、届いている。