年が明けて

ラストスパートを

かけるのかと思ったら


瑞城先生は


『今のままでいい。』


と言った。



私は不安だったけど

瑞城先生を信じて

自分でも

いままで通りのペースで

勉強を続けた。



そして

試験は来週の日曜日

にまで迫ったころ。



私は部活で

ここ数ヶ月

繰り返されてきた

瑞城先生が用意した

模擬試験を解いていた。



「今日はここまでにしよう。」



瑞城先生が資料を

閉じながら言った。


「はい。」


私は答案用紙を

瑞城先生に渡して

片付けを始めた。


「桐乎。」


瑞城先生がめずらしく

私に声をかけてきた。


「はい。」


「今度の日曜は
 予定あるか?」


「いえ、ないですけど。」


「試験と同じ形式で
 模擬試験やってみるか?
 午前と午後とかけて
 1日がかりだ。」


「やります!」


日曜日に瑞城先生と

過ごせるのがうれしくて

思わず即答してしまった。


「じゃあ今度の日曜。
 ここに8時半集合。
 昼食持参だ。」


「わかりました。」


そう言って

瑞城先生は奥の

準備室へ入っていった。


私はいろんな意味で

ドキドキが止まらなかった。