「希美」 「ふぎゃっ!!」 あたしは時雨のさっきより低い声を聞いて驚いた。 「…そんな逃げられると俺も傷付く」 少しショボンとした顔で時雨があたしを見る。 あ、あたし…もしかして時雨のこと傷付けた…? 「ご、ごめんね…?」 あたしは思わず時雨に近寄って顔を覗き込もうとした瞬間… 「ホント単純」 不良様は口角をくいっとあげてた。 あたしがだましたんだ!とか言う前に、時雨に腕をつかまれ引き寄せられていた。