「あいつにマフラー貸すとかありえねー…」





「えっ?」






「希美って男心、理解できねぇよな?」







「り、理解できるよ!!」







理解できてると思うけど…!!





「…じゃあ、俺はなんで不機嫌なのか分かる?」







「…爽と喋ったこと?」







「呼び捨てってのも気に入らないけど、今日…一番俺を不機嫌にさせたのは…」






そう言って時雨が顔をぐっと近づけてくる。







「マフラー貸したこと。」







「え?どうして??」





あたしのせいであんなに冷たくなってて少しでも温まってくれたらって思って…







「マフラー返される時にまたアイツと喋ったりすると考えるだけで嫌だ…。」






あたしを急に抱き締めた時雨。






「希美は俺の…」







そう低く囁いたのだった。







あたしは時雨の手をぎゅっと握って微笑んだ。







「時雨、大好き…!」






あたしも時雨をぎゅっと抱きしめ返した。