「時雨?!」






「迎えにきた。」







な、なんで?!
あたしは驚きが隠せなかった。




だって時雨が迎えにきてくれるなんて…






時雨は爽の顔を見ると一瞬にして不機嫌になった。





「……帰るぞ」






「えっ?!あ、待って!」






あたしは時雨の手を一回放すと、爽に近寄った。






「あんまり…温かくないかもしんないけど…」






あたしは自分のマフラーを爽の首にかけた。





「わざわざ外で待っててくれてありがと。」





長時間、外にいたせいか爽の顔は耳まで真っ赤だ。




あたしは少しでも温まるようにとマフラーをかしたのだった。






「じゃあね!」






あたしはそれだけ言うと時雨のところまで走っていった。






「そういう小さな優しさが…好きなんだよ希美先輩…。」







そんなあたしの背中に小さな声で投げかけるように言った爽の言葉など気づきもしなかった。