『俺、まだかけてなくて良かったな。…希美が積極的に電話してきてくれたし。愛の力?』
「ちょ…!!積極的とか言うのやめてよっ!それに愛の力とかじゃないしっ!!」
あたしはいつの間にか笑っていた。
時雨はあたしに何かあったのか聞き出さなくて、世間話をし始めた。
ルーの話とか、時雨のお姉さんの話とか。
時雨の話を聞いているうちにあたしはさっきまでの暗い気持ちはいつの間にか無くなっていた。
『あ、ルーが飯やれって鳴いてる』
「ルーはたくさん食べるもんね。…じゃあ、電話…切るね?」
『明日…朝から迎えに行くから寝坊すんなよ?』
「えっ?!迎えっ…?!」
『おやすみ、希美』
最後にそう言われて一方的に電話は切られた。

