確かに、喜んでくれるクライアントはたくさんいた。
次も是非私をと、指名を頂いたのも確かだ。
だけど、同じようにクライアントを満足させていた同僚なんてたくさんいた。
「上司からも、部下からも信頼され慕われていた。…気付いてませんか?」
「…そんな、大袈裟です」
あの狸上司からは、部のことは君に任せるよと、ただ面倒だから言われたと思っていたし。
部下からは、からかわれたり、まあ、親しみやすかったのは事実だろうけど、若干ナメられている気もしないではなかった。
「…真面目で、純粋。情に厚く、優しい。厳しいことを言った後の、あの絶妙なフォローがたまらない。無茶な要求にもすぐさま答えを出し、成果を上げる。一生懸命で、ひたむき。時々見せる無邪気な笑顔は格別のご褒美。…などなど」
…なに、それ、ていうかメモ?!
「…貴女の、貴女が育てた第二営業部の皆さんの、アンケート結果です」
なにそれー!!!
あいつら、そんなものコソコソと書いてたの?!
「…いつの間に…」
はぁ、とため息混じりに笑ってしまう。

