【完】Rose.



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「わぁ、…美味しそう」


目の前に並ぶのは、お上品に、色々な品が少しずつ、丁寧に作られた和食が詰められている重箱。


一つ一つが可愛くて、キラキラしていて、食べるのが勿体ない。


「…素敵…」


こういうの好きだなぁ。


「喜んで頂けてよかったです」


「は、はい。…ありがとう、ございます」


…そうだった。


この人がいたんだった。


「いえ、こちらこそお付き合い頂いて、ありがとうございます。……すみれさんは、和食と洋食どちらがお好きですか?」


「…えっと、和食、です」


そう、昔から、おばあちゃんの作る和食が大好き。


「…そうですか。私もです。…ホッとするんですよね」


「…はい。私も、同じです」


嬉しい時も、悲しい時も、一口食べれば自分に戻れる。…おばあちゃんのお料理は、そんな味。


「一人暮らしなので外食が多くて、よくここを利用するんです」


そう言った専務が周りを見渡していて、その様子に合わせて私も目を向けてみる。


私達に用意された席は、小さな個室になっていて、周りを気にせずにくつろげる空間。