「とにかく、参議院選挙も近い事ですし、我々民民党も何か行動を起こして存在感をアピールしたいものですね」


「何しろ、民自党が政権執ってから景気も上向きだしね……参院選も民民党はかなり不利だよ」


テレビや新聞で話題の尽きない『ヤベノミクス』効果というやつだ。


大規模な金融緩和を起爆剤にして、市場に金を溢れさせデフレ脱却を達成しようという民自党の金融政策……


しかし、私はこのやり方に少々疑問も持っている。


「あれで日本の景気は本当に良くなるんでしょうか?」


「株価は上がっているみたいだよ」


「確かに……しかし、株価が上がって得をするのは会社と株主。
そこで働いている社員の収入が上がるとは限らないですよね」


「まあ、会社は利益を内部留保に回しちゃうんだろうけど」


「私は、まずそこから手を付けるべきだと思いますけどね」


「どうやって?」


「会社が社員に支払う賃金……これによって会社を格付けするんです!」


「格付け?」


「そうです!これを大々的に公表すれば、格付けの良い会社程社会的イメージも高くなりますし優秀な人材も集まります。会社としても、人件費にコストをかけるに見合ったメリットが生まれる訳です」


「なるほど、経営者は世間体を気にするからね♪『お前の会社はケチ臭い会社だ』なんてレッテルは貼られたくないからね♪」


このままでは利益を得るのは一部の投資家達……投資家達は儲けた資金を消費になどには回さない、更なる利益を得るためにそれを再び投資に注ぎ込むだけだ。


私には大多数の国民にその恩恵が巡ってくるのは、ずいぶん先の事になってしまう気がして仕方がないのだ。



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