龍奇譚-彼の想い-






「どうした、龍宮?」



俺は焦りを龍宮に知られまいと、

努めて何でもないかのように声を掛けた。



周りからは痛い程の視線を感じる。



しかし、龍宮はそんな視線は一切気にしていない様子で、

無言のまま俺に視線を寄越す。





ふと、視線を下げると、

龍宮の手には小さな手提げがぶら下がっている事に気付いた。