…ただひとつわかったのは、今まで和真と別れてもこんなに寂しくなかったってこと。
会いたい、って苦しくならなかったこと。
「寒っ…」
ヒュッと冷風が吹く。
私はゆっくりと玄関を開けて家に入った。
玄関に並ぶのはいつも見かけない黒いヒールとおっきな青いシューズ。
お父さんのたまに来る上司の方達かと思ったけどお父さんの靴はない。
「…ただいまぁ」
「あっ、帰ってきた!?」
…えっ。
「桜ぁ〜久しぶりじゃない?って何かたまってんの?…ま、まさかアンタ、姉ちゃんの顔忘れたとか言わないよね!?」
「…な、なんでお姉ちゃんがいるの!?」
リビングから飛び出して来たのは成人になったばかりの姉だった。



