そのまましばらく時間が過ぎると、大翔は不意に腕の力をゆるめた。

「今日は遅いし帰るか。」

確かに時間は24時を回っていた。
大翔はそう言いながら笑って、小さい頃みたいに手を差し出した。

彼は、動かない私…もとい、動けない私の手を取って、家まで歩き出す。
まるで小さな頃みたいに手を繋いで。

私は頭が真っ白なまま。
気が付いたら家の前にいた。

「ちゃんと風呂入って寝ろよ。」

「うん…。」

「じゃ。おやすみ。」

「うん…。」

大翔は手を離してヒラヒラさせ、隣の家に入って行った。

(今日は眠れそうにないよ…。)

そう思いながら見上げた星空は優しい唄を唄っていた。


                       fin.