「うわぁ…俺の紗奈ちゃんが巣立ってしまった…」 「止めて下さい。その嘘泣き」 「……………“俺の”って何?」 もうアンタは黙ってろよ。余計にややこしくなる。 1人だけ論点ズレてるから。 「とりあえず先生、早く湿布とお薬下さい」 「んー…お母さんは変わりない?」 「…少し咳が」 「そっか。じゃあお薬追加しておくよ。 じゃあまた来週ね」 私はペコリと頭を下げた。 何だかんだで先生は先生なんだ。 …上手く言えないけど。