受付へ行くと私はいつものセリフを発す。




「すみません、石井先生居ますか?」



「はい。石井先生ですね。
いつもいつもご苦労様」




私はもうすっかりここの顔なじみだ。


石井先生とは母の担当の先生である。
普通なら本人―つまり母親が来なければ薬をくれないのだが、仕事で忙しい母の代わりにやって来る私にも薬をくれる。


その代わり必ず石井先生を通して母の容態を伝えるのが条件というわけだ。




「やぁ、紗奈ちゃん。いらっしゃい。
――――あれ?そちらは…」



「あー…彼氏です、先生」



「か、彼氏…?
紗奈ちゃんってそんな顔面に絆創膏貼りまくった危ない男の人が好きなのかい?」