そう言えば。
"あんな父親"とか
"浮気男"とか
"無口男"とか
"気まずい"とか
そんな罵倒は思い当たっても、お父さんを"嫌い"と思ったことは一度もなかった。
「私、お父さんのこと…嫌いじゃ、ない……?」
「嫌いだと思ったことがなければそうなるな」
理論的にはそうだけれども。
「だけど会う度、何て言えば良いのか分からなくて…何を話せば良いのかも分からない…
今更突然帰って来られても…困る」
「今の言葉、そのまま言ってみたら?
何か変わるかもよ」
だから、こんなこと言ったって何になるんだ。
「なぁ、この曲知ってる?」
そうして大樹君が口ずさんでくれた曲は、私が今日守から聞いた曲だった。


