恋愛季節




「あたし、高橋と一緒にいないよ。」

『そうなの?彼女さん、目真っ赤にして泣いてたから、心配になって。』



杏ちゃん……

多分、気づいてるんだ。


「じゃあ、今日は休むから」

『あ、うん…ばいばい』


ピッと切ると、上谷君がひょいっと顔を覗く。


「友達?」

「……みたいなもん。」

「へー…。タカハシ君は?ほっといていいの?」


声、聞こえてたんだ。


「いいんです。もう関係ないから」

「もう?」


あたしは聞こえてないふりをして、歩き出す。


「送ってくれるんでしょ?早く来てください」

「……あぁ」


しばらくして、コンビニや、道路のある所に出た。

それまでに、たくさんのチャラい人や危ない人がいたけど、みんな『上谷だ!』と言って避けるように歩いていた。


「……ありがとう」

「ここからなら、多分襲われないでしょ。」



あたしはクスッと笑う。

あれ…?
あたし、笑えてる。


「…笑顔、可愛いな」

「えっ……?」


あたしと同様、上谷君も初めてくしゃっとした笑顔を見せた。


「あのさー………」
「麗美!」


何かを言おうとした上谷君に重なって、誰かの声が聞こえる。