恋愛季節




「よし!肉まん食いに行こ!」

「えー?何で肉まん?」

「いいじゃん。冬はやっぱ肉まん!」


高橋の変なこだわりに笑う。


「笑った。」

「あたしだって、笑うし」


高橋はニコッと笑った後、あたしに手を差し出す。


あたしは、躊躇いながらもその手を握る。


「っし、行こーぜ。」

「うん!」


歩き出したその時………


「麗美?」


「……お母さん」


高橋は緊張してるのか、顔が強ばる。
…そして、お母さんの隣には、あたしの知らない男の人。


「麗美のお友達?」

「あ、えっと、ついさっき、彼氏になりました!高橋元斗です!よろしくお願いいします!」


テンパる高橋。

さっきのあたしなら、またプッ、て笑ってた。
でも、お母さんがいるから……。


「あら。こちらこそ、よろしくね。……麗美、大事な話があるの。」


やっぱり……


「何?」

「ここじゃなんだし、家に帰りましょ?」

「あたしこれから肉まん食べに行くんだけど。」

「そう…」


困惑の表情を浮かべるお母さん。


「あ、いいよ。また今度にしよう。な?」


高橋……!……ばか。


「え?いいの?ありがとう。じゃあ、悪いけど…」

「はい!…じゃあな、篠田」

「うん…」


高橋、あたしこんなに苦笑いしてるのに。
気づいて。
ここにいたくないの――


そんな願いも虚しく、高橋は走って帰って行っちゃった。


「入って?」

「あ、ありがとう」

「ふふ。」


……2人して、出来立てホヤホヤのカップルみたい。

お母さんが、3人分の紅茶を入れる。


「匠(たくみ)さんは、砂糖とミルクたっぷり目よ。」

「あ、ありがとう」

「はい麗美。」


置かれたのは、あたしが普段使っているカップ。

一口だけ飲む。
……ミルクだけ入れてある。