デキちゃってない結婚

バッグを開けると中から完成間近のセーターが出てきた。

しばらくそれを見つめ、何かを思い出しているようだった。

美月と出会ってまだ短い期間ではあるけれど、真理子は美月のことを沢山考えた。

夢を現実にするために。

でも夢は現実にはならなかった、逆に現実が夢になってほしくった。

真理子が思い描いた未来図は、次々と崩れ始め、真理子自身も崩れていいと思っていた。

「バカヤロー!」

 そう叫び、手に持っていたセーターを海に投げ捨てた。

そんなに飛ばなかったが、セーターは海に落ちて波がさらっていった。