「…どうして山形さんまで、着いて来るんですか?」

夕日が海に沈む海岸線を、三人で歩いていた。

「え〜いいじゃん、深谷君のお母さん見てみたいし〜」

山形さんが自転車を引くハル越しに、自分に向かって手をヒラヒラとふってきた。

「ははは〜」

ハルは笑うばかりで、楽しそうだ。

「…何て説明するつもりですか?」

小さくため息をつくと、自分はたずねた。

「そうだな〜先生とかは?」

「ははは、何の教師ですか〜?」

ハルが会話に入ってきた。

「体育教師とか、どう?」

「あははは、ぜんぜん見えなくていいですね〜意外性があって」

「でしょでしょ?でも僕、マジで教免持ってるんだよね〜」

「え〜本当ですか〜?何専攻してたんですか〜?」

「ベタな所で、国語教師」

「あはは〜ぴったりですね〜現国とかですか?」

「そうそう、良く分かったね〜」

「文学青年風ですもんね〜山形さんて、ね?」

ハルが自分に同意を求めてきたので、うなずいて答えた。