深谷少年の説明が終わるまで、僕は一言もしゃべる事が出来なかった。

「そ…っか…」

僕は大きなため息をつくと、改めて安堵した…

まさかそんな秘密のルートがあったなんて、思わなかったから…

戸川先生と深谷少年に、再会出来たにもかかわらず、信じられない気持ちが消えなかったのだ…

知ってしまえば、この上もなく納得のいくものだ…

けれど僕はあの時、本当は大魔法士ルドの記憶を持ってしても、どうする事も出来ないと思っていたのだ…

とにかく高田さんとハル君だけは、生きて地上につれて帰らないと…と、ただそれだけを考えていた。

あの時、二人には大丈夫なんて言いながら、心の中では見殺しにする覚悟をしていたのだ…

前世の記憶をムダに一番、あの場にいた人間で持っていたから、可能な事と不可能な事が瞬時に分かっていた…

図書館のシステムは正確だ…そしてその強度も、疑いようがなかった。