…それは、例えようのない初めての感覚でした。

自分がまっすぐに歩いているのか、ゆらゆらとただよっているのかさえ分からない…

そう…これはいい感じに酔ってしまった時に、少し似ているようですね…ふふふ…

両側で支えてくれている高田さんと生島君が、心配げに私の顔をのぞき込んで、同じ事を言いました。

「大丈夫ですか?戸川先生」

「大丈夫?修子ちゃん」

「はい〜だいぶ慣れてきました。お二人とも、ありがとうございます〜」

壊れた宮殿の階段を一段一段上がって行く感じは、無重力の中を歩いているようで、体重がなくなったみたいで面白いです。

「あ、ちょっと待って下さい。一枚写真を撮らせて下さい」

私は突然思い出して、デジカメで宮殿入口の、美しい水晶が中央にデザインされた建築物をレンズにおさめました。

下からのアングルが、超古代の歴史を物語っているかのようで荘厳です。