時折「パラストは…いや、でも確認はしていないし…」とか呟いている…

そして白昼夢を見ているような遠い目をすると、コテンとソファーに倒れ込んだ。

「山形さん?」

顔をのぞき込んで見ると眠りについたらしく、クークーと寝息が聞こえてきた。

自分は隣の部屋からタオルケットを持って来ると、山形さんの上にそっとのせた。

時計を見ると、1時半を回っていた…
テーブルの上には、何本も空き缶が転がっている…

飲みかけのビールを飲み干して自分は、上を何となく見上げると、大きく息を吐き出した。

目を閉じると、どこか遠くで波の音のような、ゆらぎが聞こえてきて、意識がゆるやかに途切れていった…


その夜、長い長い夢を見た気がする…

だけど、朝起きると、全て忘れていて…気づくと涙が頬を伝っていた。


その日以来、自分は前世の記憶を思い出す事はなかった…