「じゃあ、御主人様のご要望にお応えして——」
「要望なんてしてないし!」


 焦って突き放そうとするが、酔っぱらいのくせにビクともしない。
 わめく真純の唇に、シンヤは頬に添えた手の親指を当てて、言葉を制した。


「黙って」


 目の前で囁かれ、唇に息がかかる。
 無意識に身体がピクリと震え、急激に鼓動は早くなる。

 とても正視に耐えられず、真純はギュッと目を閉じた。

 その直後、唇を何かがかすめ、シンヤの頭が肩の上に乗った。
 その重さに驚いて、真純は咄嗟に目を開く。

 頬に添えられた手が、だらりと垂れ下がった。
 それと同時にシンヤの全体重が、真純の上にのしかかる。
 完全に身体中の力が抜けている。


「うわっ……! 重っ……」