「できないんだ。全ユーザの使用権限が停止してる。多分、今ハルコに命令できるのはダッシュだけだよ」


 通常その権限を持っているのは瑞希だ。

 ハルコは自分で考えて自分の判断で行動する。
 野放しにすれば何をしでかすかわからない。
 現に以前、勝手にネットワークに侵入しハッキングを行った。

 ハルコの行動を制御する、絶対的な権限を持つ人間が必要なのだ。
 そのマスタ管理者権限が、今は瑞希からダッシュに書き換えられているのだろう。

 シンヤが昔ハルコに残しておいたバックドアも閉じられているらしい。
 つまり、アクセスさえできないのだ。

 他に何か手がかりはないかと、真純ももう一度メッセージを見つめた。
 ふと最後の二つが、意味は分からないが気になった。


「ねぇ、どうしてこれだけ英語なの? あと、最後の数字って……あ、アルファベットも混ざってる。何かの暗号?」

「ハルコも時間がなくて焦ってたのかな。英語の方がデータ量が少なくなるんだよ。最後のは……これ、多分キャラクタコードだ。ちょっと待って」