シンヤが風呂に入っている間に、真純は自分の部屋から椅子とブランケットを持ってきた。

 シンヤの椅子の横に座り、ブランケットをひざに掛けてしばらく待つ。
 だが椅子が高すぎるため、宙に浮いた裸足の足がしだいに冷たくなってきた。

 両足を椅子の上に上げブランケットごとひざを抱えていると、シンヤが戻ってきた。

 椅子の上で丸くなっている真純を見てシンヤは吹き出す。


「ホント、猫みたい」
「おまえは、まんま犬みたいだよ」


 シンヤは笑いながら真純の隣に座り、二台のパソコンにそれぞれツールを立ち上げた。

 そしてなにやら設定を入力していく。
 真純が不思議そうに見ていたからか、シンヤが説明してくれた。


「こっちがハモスのCPU使用率のモニタで、そっちがアタックを仕掛けるマシンの状態表示。真純さんはそっちの画面を見てて。赤い文字が出たら教えてね」
「うん」


 シンヤ曰く、あとは見守るしかする事はないらしい。

 やがて一時になり、シンヤが二つのツールを同時に起動した。
 真純の見つめる画面には、めまぐるしく数字が表示され始める。

 ハルコとの戦いの火蓋が、静かに切って落とされた。