「おまえ緊張感なさ過ぎ。どうしてそんなに余裕なの?」

「滅茶苦茶緊張してるよ。真純に縋っていないと、ひとりで立っていられないくらいに。余裕なんて全然ないよ」


 淡く微笑むシンヤが儚げに見える。
 ふざけているように見えたのは、緊張と不安を紛らわせるため、加護を求めて人に甘える子犬になっていたからだ。


「ごめん。私にできる事ある?」


 何もできない事はわかっている。
 けれど何かしたいと思う。

 俯く真純の頬にシンヤはそっと手を触れた。


「側にいて見張ってて。オレが逃げ出してしまわないように。そして、うまくいくように祈ってて」


 瑞希と同じ事を言う。
 真純は笑って頷いた。


「うん。わかった」