『シンヤくんを信じて支えてあげて。あんたにしかできない事よ。勝手な言い草だけど、私には彼が最後の希望なの。私も頑張るから』


「うん。頑張ってね」


 電話を切って返すと、シンヤはおもむろに真純を抱きしめた。


「お風呂上がりの真純さんっていい匂い。ほっぺもぷにぷにで気持ちいい」


 嬉しそうに頬ずりするシンヤの頭を、真純は片手で押しやった。


「おまえのほっぺは無精ひげで痛いよ。さっさとお風呂に入りなさい。一時から始めるんでしょ?」
「はーい」


 軽い調子で返事をしながら、シンヤは真純から離れた。

 時間が経つにつれて、シンヤの犬っぽさが増しているような気がする。
 瑞希にとって最後の希望がこんな調子で大丈夫だろうかと心配になってきた。