もう二度とハッキングをしないと誓った時、全部消して回ろうと思ったらしい。
 だが数が多い上に、それをやろうとするとハッキングしなければならない。

 どっちにしろシンヤの仕込んだバックドアを利用する方法は、シンヤにしか分からないので放置していた。
 いずれ会社の倒産やマシンの入れ替えで消えてしまうだろうと見込んで。

 それをなぜ、今になって掘り返しているのか気になった。


「何に利用するの?」


 シンヤは少し目を伏せて、悔しそうにつぶやいた。


「ハルコがダッシュの手に落ちた」


 停電の時、ハルコの電源も落ちた。
 ところが再び電源の入ったハルコは、外からの命令を一切受け付けないようになったらしい。
 おまけにネットワークから切り離されていたはずなのに、いつの間にかネットワークに接続されていた。