今シンヤがやっている事は決して正しいことではないが、真純を不安にさせると思って気まずく感じているのだろう。

 瑞希に命令されたことだし、以前とは目的が違うのだから、シンヤが後ろめたく思う必要はない。

 自分の抱く不安にばかりとらわれて、シンヤに気を遣わせすぎだ。

 どっちが年下で子供なんだが——。

 シンヤが帰ってきたらちゃんと話そう。
 目を背けているから不安になるのだ。

 時計を見ると、もうすぐ昼になろうとしていた。
 ちょうどシンヤから「今から帰る」と連絡があったので、二人分の昼ご飯を作るために台所へ向かう。

 食卓へ置いたおにぎりはなくなっていた。
 ちゃんと気付いて食べてくれたようだ。
 おまけに、おにぎりを乗せた皿もきれいに洗って片付けられている。

 相変わらずシンヤは、妙なところに律儀だ。

 十二時の時報と共に、昼食の支度が整った。
「よし」と内心拳を握っていると、玄関の扉が開き、いつものようにシンヤがバタバタと駆け込んできた。