「真純。あんた何を心配してるの? 彼がまたいなくなると思ってるの?」


 真純が黙っていると、瑞希はクスリと笑った。


「バカね。この世からいなくなるわけじゃないでしょ? もしも連れて行かれても、あんたが信じて待っていればいいだけよ。犬は三日飼えば恩を忘れないんだから、必ず帰ってくるわ」


 顔を上げると、瑞希が微笑みながら頷いた。


「まぁ、彼って表向きは新入社員だから、私に命令されて言われた通りにやっただけだって事にすれば、執行猶予がつくんじゃない?」

「かもね」


 二人で顔を見合わせて笑った時、突然天井の照明が消えた。


「あら、停電?」