真純のおにぎりをかじりつつ、それらをぼんやり眺めながら、進弥はあいつが現れるのを待った。

 おにぎりを食べ終わっても、あいつは現れない。
 進弥は隣のパソコンで自作ツールを立ち上げ、設定を入力した。

 左手で時々更新ボタンを押しつつ、右手は隣のパソコンのリターンキーに乗せる。
 あいつが現れたと同時に、掲示板の記事が保存されているファイルを取得するためだ。

 すでにファイルの在処は突き止めていた。
 リターンキーひとつで取り出せる状態になっている。

 繋ぎっぱなしだと怪しまれるので、進弥のツールは接続からファイルコピーまでを一気に行うようになっていた。

 このファイルには画面に表示されている記事の他に、IPアドレスやリファラーなど、接続元が特定できる情報が含まれている事を確認済みだ。

 削除された記事は残っていないようだが、書き込まれた直後にファイルを取得すれば問題ない。

 しばらくは緊張しながらそのまま待っていたが、あいつは一向に現れない。
 無意味でくだらない書き込みを見るともなしにずっと眺めていると、次第にまぶたが重くなってくる。