進弥の返事を聞いて、課長は分かっていたかのように頷いた。
「でしょうね。あなたが真純を泣かせる事はしないって信じてるわ。それとなくあの子に探りを入れてウラは取れてるし」
「何かあったんですか?」
「例の掲示板にね、”シンヤ”が現れたのよ」
「……え?」
ハルコがいう事を聞かないので、課長は調査をしていたらしい。
そして、質の悪いウィルスが侵入している事を発見した。
ハルコには元々自浄システムが備わっている。
体内に侵入した異物を取り除く、人間の持つ免疫機能のようなものだ。
自律思考エンジン搭載のハルコは、未知のウィルス侵入を感知すると、自身で分析判断を行い処理する。
ネット上に飛び交っている単純なウィルスなら侵入すら許す事はないのだが、よほど質の悪いウィルスなのか、駆除に手間取っているらしい。
それで挙動不審になっていたようだ。