そのため日本語としてはどうだろうという文章や、前後の文章に全く脈絡がなかったりとか、意味不明でちぐはぐな仕上がりになっている。

 だが、それが案外おもしろいと、社内では評判がよかった。
 中には、それこそ業務に関わりのない事だろうと指摘する者もいるが、ハルコの思考エンジン強化のためにもなるという事で、黙認されていた。

 あちこちからかけられる「お疲れさま」の声に軽く応えながら、課長はまっすぐ進弥の元へやって来た。


「舞坂くん。ちょっといい?」
「はい」


 進弥は今、高木リーダーのチームで仕事をしている。
 リーダーではなく自分に直接話してくるという事は、仕事とは関係のない話かもしれない。

 もしかして、真純に何か——?
 少し不安に思いながらも、進弥は席を立ち、課長と共に会議室に向かった。