呆れたように大きなため息をついて、瑞希がまじまじと見つめる。


「一年も経つから、そろそろ結婚の話でも出てるかと思えば……。何やってんの、あんた。一緒に住んで寝食共にしてるだけって、熟年夫婦じゃあるまいし」

「結婚なんて、シンヤはまだ若すぎるし、かわいそうだよ」


 そもそも熟年夫婦なら、キスしたり隙あらば抱きついてきたりはしないと思う。
 と反論したかったが、それについて詳細を追及されても困るので黙っておく。

 いつものように書類の交換のため辺奈商事を訪れた真純は、本社ビル二階のカフェで久しぶりに瑞希と会話していた。

 このところ瑞希は、ハルコがいう事を聞かないとかで対応に追われていて、ゆっくり話をする機会がなかったのだ。


「あんた毎日生理だとか言ってるんじゃないでしょうね」
「そんな事、男にいちいち報告しないよ」
「……てことは、言う必要もないって事なのね」