デジャヴを覚える。
以前もここで、こんな事があったような——。
黒シンヤは長い腕を伸ばし、ローテーブルに置かれたリモコンを取って、素早くテレビを消した。
そして真純に顔を近付け、邪魔者はいなくなったとばかりに、ニヤリと笑う。
「今すぐ真純をオレだけのものにしたくなった」
「えぇ?! ここ、ソファだし」
あまりに唐突な展開に真純はうろたえながら、シンヤの肩に手を置いて身体を押し戻した。
しかしシンヤは余裕の笑みを浮かべながら、あっさり真純の手を外して言う。
「じゃあ、ベッドに行こうか」
「いや、待って。まだお風呂に入ってないし、心の準備が……!」
わめきながらも自分でツッコミを入れたくなる。
一緒に住んでいながら、互いの気持ちも確認しているのに、いまさら心の準備など間抜けすぎる。



