猫が好き!



 あれだけあからさまに様子がおかしかったのに、ごまかそうとしてもそうはいかない。


「何もないなら、どうして帰ってきた時変だったの?」
「変って……」


 黙って互いを探るように見つめ合う。
 少ししてシンヤが観念したのか、目を伏せて大きくため息をついた。
 気まずそうにチラリとこちらを見て白状する。


「笑わないでよ……」


 そう前置きをして、シンヤは会社であった事を話し始めた。

 客先での打ち合わせに向かう途中、偶然、高木と話している真純を見たという。
 高木の事を嫌っていると思っていた真純が、楽しそうに笑っているのを見てモヤモヤしたらしい。

 それが子供じみた嫉妬だという事は分かっていたし、真純が高木に対する恋愛感情を持っていない事も分かっていたが、どうしても気持ちが収まらなかったようだ。