「今日はカレーなんだね」
振り返ると、少し笑いながら、シンヤが鍋の中を覗いている。
さきほどの暗い様子はなくなって、いつもより少しおとなしめのシンヤがいた。
ホッとした真純も、笑顔を返す。
「うん。おまえ、好きだし。明日の方が絶対おいしいから、今日全部食べないでよ」
「さすがにこれ全部は無理だよ」
おどけたように笑うシンヤは、すっかりいつもの犬かぶりシンヤだった。
——とはいえ、やはり帰ってきた時の様子が気になる。
夕食の後、一緒にテレビを見ながら、真純は意を決して尋ねた。
「会社で何かあったの?」
「ん? 別に……」
平静を装って、シンヤは否定する。



