猫が好き!



 困惑に眉を寄せて、睨み上げる真純に、シンヤは目を逸らしポツリとつぶやいた。


「……ごめん」


 手を離したシンヤは、俯いたまま黙り込む。

 やはり様子がおかしい。
 具合が悪いわけではなさそうだが。

 真純が問い質そうとした時、キッチンからカタカタと音が聞こえて来た。


「あ! 鍋を火にかけたままだった」


 真純はシンヤをその場に残し、慌ててキッチンに駆け戻る。
 幸い吹きこぼれてはいなかった。


「うーん。底の方がちょっと焦げちゃったかなぁ」


 鍋の中をかき回していると、後ろからシンヤの声がした。