「……ウソつき。どこにも行かない。ずっと側にいるって言ったくせに……」


 普段の真純からは想像もつかない、すねた口調と涙声に、驚くと同時に胸が痛む。
 メールを無視したから、ヤケ酒でも飲んで酔っているのだろうか。

 進弥は思わず、布団ごと真純を抱きしめた。


「ごめん。もうどこにも行かないよ。お願いだから出てきて」
「イヤ……。ウソつきは嫌い」


 進弥の腕を逃れるように、真純は益々奥へと潜り込む。
 進弥は身体を起こして、もう一度布団の上から、真純の背中をポンポン叩いた。


「それでも、僕は真純さんが好きだよ」

「どうして? どうして私なの? 私なんかより、もっと若くて、素直で、かわいい子の方がいいんじゃないの? 私なんて、ただおまえを拾っただけだし。この家だって私のものじゃないんだし、おまえが恩を感じる必要なんてないよ」


 真純が一線を引いている理由が、なんとなく分かった。