進弥は駆け寄り、布団の端をそっとめくる。
 はたしてそこには、猫のように丸くなった真純が潜り込んでいた。
 手には携帯電話が握られている。

 一瞬、進弥と目が合った真純は、素早く布団の端を奪い返して、再び中に閉じこもった。

 どうして電源を切った電話を握りしめているのか。
 そもそもなぜ電源を切ったのか。
 真純の性格からして、進弥を誘うためではないだろうが、どうしてこんなところにいるのか。

 色々訊きたい事はある。

 進弥はベッドに腰掛けて、布団の上から真純の身体をポンポン叩いた。


「よかった。心配したよ。また攫われたかと思って」


 無意識に口をついて出たのは、安堵の言葉だった。

 布団の中で真純が、ボソボソと何かを言っている。
 進弥は身を屈めて、布団に耳を近付けた。