礼を述べて絆創膏を受け取った少女は、金額を尋ねてきた。
 案外律儀だ。

 進弥はニヤリと笑い、先ほどから気になっていた、少女の脇に置かれた缶酎ハイを取り上げた。


「代金はこれでいいよ」
「あぁ! あたしのヤケ酒返して!」


 少女は取り返そうと手を伸ばす。
 進弥はその手を叩いて、缶を指差した。


「ふざけんな、未成年。お酒は二十歳になってからって、ここに書いてあるだろ?」
「説教? あんたはどうなのよ!」


 確かにこの少女との年の差は、真純との半分も離れていないかも知れない。

 進弥はニッと笑い、少女の目の前で缶酎ハイのプルタブを起こす。


「オレは二十一。立派なオ・ト・ナ」


 そしてわざとらしく、酎ハイを煽って見せた。